懸念ぬぐえない「女系天皇」への布石

皇室典範改正、女性宮家創設に限定 慎重派に配慮「一代限り」案有力
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120106/plc12010601310001-n1.htm

 政府は5日、2月から本格的な議論に入る皇室典範改正について「女性宮家」創設だけに限定して検討する方針を固めた。女性・女系天皇容認にからむ議論に踏み込めば、男系継承の堅持を求める慎重派の反発を避けられないと判断した。さらに皇位継承議論と結びつかないよう、女性宮家は一代限りとする案が有力となっている。

 また、女性宮家の当主と結婚した男性には皇族の身分を付与する方向で検討している。女性皇族の婚姻による皇籍離脱を定めた皇室典範12条を軸に改正案をまとめ、今年秋の臨時国会にも改正案を提出する方針。

 政府は、有識者会議などは設けず、竹歳誠官房副長官が内閣官房や宮内庁など政府部内で検討を進める予定。2月から有識者へのヒアリングを始める前に女性宮家創設に反対する安倍晋三元首相らにも意見を求める方針だという。

 政府は、天皇の娘、孫娘に当たる「内親王」に限り、女性宮家の対象とする方向で調整しているが、女性宮家の子息が婚姻した場合、どのような地位となるかなどについてはさらなる議論が必要だという。

 現在、皇太子ご夫妻と秋篠宮ご夫妻の4人のお子さまのうち男子は秋篠宮家の悠仁さまお1人。現行の皇室典範では皇太子殿下の長女、愛子さまや、秋篠宮家の長女、眞子さま、次女、佳子さまは結婚されれば皇室を離れることになる。

 このままでは皇族の減少が深刻化することから、野田佳彦首相は「皇室活動の安定性から緊急性の高い課題」と判断。昨年末から内閣官房と宮内庁が、女性皇族が結婚後も皇族の身分にとどまることができるよう女性宮家創設に向け、勉強会を重ねてきた。

 ただ、平成17年に小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」がまとめた報告書では、女性宮家創設について女性・女系天皇を前提にした検討対象と位置付けられた。政府高官は「女性宮家の議論を皇位継承問題とは切り離す」と強調するが、17年の報告書を踏まえると女性宮家創設が女性・女系天皇容認に結び付く可能性は拭いきれない。

    ◇  ◇

 ■皇室典範 皇位継承の資格や順序、皇族の範囲などを規定した皇室の基本法。第1条で皇位は男系の男子で継承することを定めている。「皇室典範に関する有識者会議」は平成17年、皇位の安定的な継承には「皇位継承資格を女子や女系の皇族に拡大することが必要」と結論付けたが、翌18年、秋篠宮家に悠仁さまが誕生されたことを受け、皇室典範改正の議論は止まっていた。

「女系天皇」への“入り口”…懸念ぬぐえず
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120106/plc12010601300000-n1.htm

 政府が皇室典範改正に関し、「女性宮家」創設に絞ったのは、男系による皇位継承という大原則をひとまず尊重したかにみえる。ただ、女性宮家の創設は将来的に「女系皇族」を生みかねず、皇室伝統の大転換となる「女系天皇」実現への思わぬ入り口となる懸念は払拭できない。

 男系継承は神話時代から現在の第125代の天皇陛下に至るまで脈々と続いてきた。歴史上、女性天皇は10代8人がいたが、いずれも男系女子だった。小泉純一郎元首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が平成17年に出した「皇位継承順位は男女を問わず天皇直系の第一子とする」との答申は、この伝統を断絶させる内容だったため激しい批判を浴びた。

 政府はこうした経緯を踏まえ、皇位継承資格や順位の議論に踏み込まないことにしたようだ。女性宮家は一代限りとし、公務分担のため、その配偶者も皇族とする案が有力だという。

 だが、十分考え抜かれた案であるか疑問が残る。

 女性宮家とその配偶者を皇族と定めた場合、子供だけ民間人とするのは不自然だとの議論が起きはしないか。そこで「その子供も皇族とする」とすれば、男子であれ女子であれ、皇室伝統とは異なる女系皇族が誕生することになる。

 仮に一代限りではなく世襲と決まれば、女系宮家が誕生する。皇位継承順位は複雑化し、女系宮家から皇位継承者が現れれば、有史以来初の女系天皇となる。

 また、政府は、戦後皇籍離脱した旧皇族の復帰については「現天皇陛下との共通の祖先は約600年前までさかのぼる」とする17年の報告書を踏まえ、検討対象から外した。

 女性宮家の配偶者となる民間男性が皇族となるのに旧皇族は無理とするのは不合理ではないか。しかも旧皇族のうち竹田、北白川、朝香、東久邇の4宮家には明治天皇の皇女が嫁ぎ、東久邇宮家には昭和天皇の皇女も嫁いでいる。母方の系統とはいえ血縁は近い。

 政府は、当事者である皇族方のご意見も取り入れつつ早計な判断を避けるべきだろう。(阿比留瑠比)

(平成24年1月6日 産経新聞)
 女性宮家創設問題でよく言われているのが「天皇陛下の御公務の負担を軽くする」ということですが、誤った判断をしないために言っておきますと、天皇陛下のご公務を分担するということは、最初からあり得ません。
 天皇陛下のご公務はほとんどが憲法に定められた国事行為に基づいたものです。皇族方が行っているご公務はそれぞれの分野、たとえば福祉事業や専門分野での「私的な」ご公務であり、天皇陛下のなさるご公務の分担などできません。
 秋篠宮家のご長女、眞子内親王が成年皇族になられましたが、昨年以前は未成年で、お一人でのご公務はなさっていませんでした。さて、これから成年皇族になられたから、天皇陛下のご公務の一部を代行できるか、と言ったら、それはできません。摂政になられれば可能ですが、ほとんど可能性はないと言ってもいいでしょう。
 ちなみに、摂政は皇室典範にも定められていますが、女性皇族もなることが可能です。男性皇族優先で、皇后陛下は摂政就任順位第7位にあり、その次に眞子内親王、佳子内親王(成人された場合)・・・と続きます。現時点で東宮殿下が摂政になりうるので、資格はあっても摂政に就任する可能性はほとんどないと言っても良いと思います。

 さらに女性宮家創設にかかる問題は、婚姻による民間男性の身分についてです。民間から女性が入内する場合は、自動的に皇族となることは可能ですが、男性の場合は意味合いが変わってきます。民間の男性の場合も、皇室に入ることになれば姓がなくなり、「婿入り」することになりますが、女性の場合との違いは男性の家の影響力が強くなるということです。
 平等社会になったとはいえ、まだ男性が社会的に影響力があるわけで、そのような影響力を持つ者が皇室に入ろうものなら、皇室を利用して影響力を行使する者が万が一にもいないとも限りません。
 たとえば、大金持ちや財閥の家柄の息子が皇室に入ることになったとしたら。また、外国人の子供が皇室に入ることになったとしたら。女性よりも男性が皇室に入るときの影響がはるかに強いわけです。

 言うなれば皇室は、家の継承ではなく、血統の継承なのです。皇室の血統でなければ意味がないと言われます。なぜか。皇室が神話時代や神武天皇から脈々と受け継いできたものはつまり、日本国そのものであり、日本の伝統文化であり、精神なのです。そこに他の家の血統が入ること(民間の男子が皇室に入ること)があれば、これまで守ってきた日本そのもの、さらに言えば国民のアイデンティティを失いかねないのです。

 女性宮家の創設云々を言うならば、戦後GHQによって皇籍を離脱させられた宮家の復興を最優先にし、それから民間にも、という議論を進めるべきです。まあ、筆者は民間人の男性の入り婿による女性宮家の創設には反対ですが、最初から旧皇族の復帰という方法を排除した議論を進めるのには大いに反対します。

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